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高尾山・尺八本曲鑑賞会 ブログトップ

本曲吹き合わせ講習会 in 法身寺 and 深大寺 [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

5月28日(土)新宿法身寺にて琴古流本曲吹き合わせの講習会と奉納演奏をしました。
この10年ほど高尾山にて本曲鑑賞会を開催してきましたが、2007年にミシュランガイドで高尾山が三つ星を獲得し観光客が激増!だんだん演奏会も開催しづらくなってきました。特に本堂での奉納演奏を2009年に初めて行ったのですがそれっきりで現在はお断りの状態です。そんな訳で虚無僧にゆかりの深い法身寺での奉納演奏となりました。
先ずはその前に合奏練習を兼ねて吹き合わせの講習会です。曲は「吾妻の曲」を選びました。8寸と2尺による吹き合わせでメロディーが子守歌のような親しみやすい曲でリズムも一定しており合わせやすいですね。受講者にはこの講習会用に製作しました本曲譜面が配布されました。
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奏法の解説ページがあり、楽譜には丁寧な手法付記(折り、スリ、打ち、緩急など)がなされ、表紙には高尾山の梵鐘をデザインした美麗な冊子になっております。講習会主催の橋本さんの燭の会より販売もされています。
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先ずは橋本8寸船明2尺で模範演奏です。楽譜自体は難しい手も無く、リズムも単調ですから合わせることは簡単ですが、2本の音が自由に絡み合う乗りの良い演奏にするには、回数を重ねることが肝要です。また、本曲ですから二つのパートとも「折り」や「スリ」「当たり」など独特の表現を必ず入れながら,単独でも本曲として聞こえるように吹くことが大事で二重奏ではないのです。
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講習の様子を一部お聞き下さい。

そんなニュアンス、勘所、表現方法を簡潔に分かりやすく,時にユーモアを交えて橋本さんの解説は進みます。質問にも丁寧に答えておりました。参加者は15名とやや少なかったですが、皆さん熱心に聞いていただきありがとうございました。

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休憩を挟んでいよいよ本堂で奉納演奏となります。本堂には虚無僧の位牌や古い尺八、天蓋などが飾られ、はるか江戸時代の歴史を感じさせます。本尊に向かって一礼、橋本さんの前奏を一節聞いた後、吹き合わせ演奏の始まりました。1回きりですから多少緊張はします。乗りの良さが、時には走ってしまうような演奏も瞬間見られましたが,尺八の音は朗々と本堂に響き、厳粛な気持ちに体が高潮したところで演奏が終わり、一気に緊張が解けました。良い演奏でした。
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高尾山での演奏が難しくなってきましたので、ここ法身寺のような雰囲気のあるお寺を探して、毎年お寺めぐり兼奉納演奏のような企画を模索しています。やはり尺八本曲はホールのような所ではなく神社でもなく、寺院がふさわしいような気がします。

そんな9月のある日、調布にあります「深大寺」に本曲演奏の舞台となるか見学に行ってきました。
http://www.jindaiji.or.jp/
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昔橋本さんが演奏した縁でご住職の張堂完俊さん(ちょうどうかんしゅん)に直々に話を聞いていただき、演奏、奉納など是非どうぞとあっさり許可がおりました。
実はご住職昔尺八を習ったことがあり、その後事情で続けることが出来なかったとのことで尺八には並々ならぬ思い入れがありそうでした。打ち合わせ等これからですが,今年は本曲鑑賞会in深大寺となりそうです。乞うご期待!
護摩堂2.jpg護摩堂護摩堂.jpg護摩堂内部
深大寺周辺のお店には「ゲゲゲの鬼太郎」グッズを売る鬼太郎茶屋があります。
漫画家水木しげるはここ調布に住んでいるのですね。鬼太郎茶屋.jpg

高尾山尺八本曲鑑賞会/奉納演奏 [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

6月6日(土)高尾山薬王院客殿にて琴古流尺八本曲鑑賞会が開催されました。
2000年にスタートしたこの鑑賞会はめでたく10回目の節目を迎えることが出来ました。高尾山の中腹に位置するとはいえ、簡単なハイキングコースでもある参道を通って会場まで足を運んでいただいた多くのお客様に感謝申し上げます。
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今回はその10回目の記念として薬王院本殿での尺八奉納演奏を企画してみました。奉納曲を「三谷菅垣」として、ご来場いただくお客様にも一緒に奉納をと呼びかけましたところ16名ものご応募をいただき準備にも一段と力が入りました。

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当日は12時半に先ず演奏会場の客殿にお集まりいただきリハーサルから始まりました。琴古流本曲ですので琴古流の方々が主に参加されましたが、都山流の楽譜も用意しましたので都山流の方も見え、さらに民謡尺八のほうでも是非奉納をということで参加をいただきました。また、2部合奏ということもあり、いきなり合奏は出来ませんので、事前に私の工房や三曲あさおの練習会で下合わせを重ねて準備をされてきた方もいらっしゃいました。会主橋本さんの丁寧な説明もありリハーサルに熱が入ります。
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1時10分、いよいよ奉納会場の薬王院本殿に向かいます。朝からの曇り空に時折時雨れが冷たく降っておりましたが、ようやく空が明るくなってきました。本殿はすぐ隣にあるので移動は5分程で、奉納会場内に入ります。本殿前で参拝していた多くのハイキング客が私達2人の紋付袴姿や尺八を携えたおじさんの群れを怪訝そうな顔でジロジロ見ていました。本殿での尺八奉納は初めてだと薬王院の事務の方が言っていましたから、地方版ニュース記事くらいの価値はありそうです。誰も取材してませんが....。本殿の奥に不動尊が祀られその前に大きく四角に囲まれた護摩台が鎮座しています。毎日定時にここで護摩が焚かれ厄落とし、家内安全、子孫繁栄の祈りが捧げられているとのこと、奉納演奏の少し前に本日の1回目の護摩修行が終わったばかりでした。本殿内は少し暗かったのは予想外で楽譜が見づらい!これは合奏中に楽譜を見落とすかも.....。

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橋本さんの合図でいっせいに奉納曲「三谷菅垣」を吹き始めます。大勢で吹き出す尺八の音は結構広い本堂にこだまし、外の参道にまで達していたのではないでしょうか、本殿外の参拝客がしきりと中を覗き込みます。曲は後半に入ったあたりから少しスピードが増し、本手と替手がずれかかります。大きく体を振って皆さんをリードしていきます。最後の音を出し切り10分ほどで奉納は終了しました。外へ出ると雲が切れて太陽が顔を出し、一気に初夏の様相を呈してきました。皆さんの顔も奉納を成就し終わった安堵感と達成感(ちょっとオーバーかな?)で上気しておりました。よかったよかった!
奉納曲「三谷菅垣」の楽譜は高尾山奉納記念として装丁したものを配布。
その奉納の模様を撮影したDVDとスナップ写真データCDを奉納者全員にお渡しいたしました。
この企画は非常に好評につき来年度から高尾山に限らずいろいろな寺院で奉納する企画を立て、その奉納曲を講習会として練習するシリーズに発展させていく計画です。

奉納演奏の模様を動画でご覧下さい。

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さて、本曲鑑賞会です。これからが我々の本番、気を引き締めて尺八を手に取り,先ずは橋本さんの独奏「厂音柱(ことじ)の曲」からスタートです。今回の演奏会では吹き合わせの原点を考えてみました。「吹き合わせ」とは本手に替手の編曲を施した重奏や、違う長さの尺八で同じ曲を吹く(原曲を移調して吹く)といった合奏のありかたを指し、江戸時代より現在まで多種多様の吹き合わせの曲が編み出されています。
プログラム2番「吾妻の曲」は8寸と2尺、プログラム3番、4番「目黒獅子」「三谷菅垣」は8寸同士で演奏した後、最後の曲「打替虚霊」で今回の新企画です。
違う長さの尺八で同じ曲を吹く曲を新たに我々で編曲し、どのようなサイズ同士の演奏が一番効果的かということを練習の過程で考証してみることにしました。1尺8寸、2尺、2尺3寸(A管)1尺3寸、1尺6寸等々組み合わせはたくさんあり、結局2尺3寸と1尺6寸の組み合わせで吹き合わせをし、曲中交互に掛け合いをしたり、独奏を入れたりと変化を持たせる工夫をしてみました。


また、本曲演奏はリズムが単調で、変化に乏しいため何曲も続けて聞くのは少し飽きてくる傾向にあります。今後本曲演奏を進化させていく狙いから、さらに尺八を入れて三重奏、四重奏としたり、自然の音(鳥の声,水の流れ)鐘の音など効果音を入れたりしてみるのもどうかなと思っています。
プログラムの最後にアンコールとして「一二三鉢返しの調べ」を1尺3寸と1尺8寸の吹き合わせで演奏し、効果音として鐘の音を入れてみました。まだ試験段階ですが来年の演奏会からいろいろと実験を重ねて行くつもりです。






高尾山へのお誘い [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

来週の土曜日6/6(土)に高尾山にて恒例の尺八本曲鑑賞会を10回目の記念大会として開催いたします。
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思えば橋本さんに誘われて高尾山に登り本曲の演奏を毎年やることになったことで、ずいぶんとこの琴古流本曲を勉強出来ました。

本曲という呼び方からすると尺八を習得する本来の曲(目的)となるわけで、琴古流に伝わる36曲全てをマスターすることが必要ではあります。しかし先生に師事して初伝、中伝、奥伝とひたすら学ぶのが地唄箏曲と呼ばれる箏三味線の曲を尺八の譜面に直した曲ばかり。少しは本曲も同時に並行して習うのですが琴古流では本格的にレッスンに入るのは地唄箏曲の課題曲が全て終わってからになります。本曲に必要な当たりやメリ、折り、スリ、などの技法を地唄箏曲の練習を通して学ぶという事なのですが、肝心の尺八の演奏会ではひたすらその地唄箏曲を披露するばかりで本曲の演奏がなかなかありません。不思議なことではあります。

一つには地唄箏曲の尺八伴奏という仕事が尺八演奏家の収入源になっているからでしょう。本曲は本来独奏曲ですから本曲で収入を得るには演奏会を催して観客を動員する必要があります。しかし抽象的な虚無僧音楽である尺八本曲は聞いて楽しむという雰囲気ではありませんで鑑賞の仕方を知るか尺八を習わないととても聞いてはいられません。演奏の技量も並外れたものが要求されます。そういうわけで尺八本曲のみの演奏会は少なく、演奏家にとっても修練を積む機会が限られている実態があるようです。
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邦楽の現代化は様々な曲を生み出し,それに伴って尺八はメロディー楽器として音程の正確さ、リズムや運指に高い技巧を求められるようになりました。7孔尺八もかなり浸透してきました。
楽器自体も製作術が格段に進歩し首振り三年は死語となりつつあります。
そんな中で本曲の持つ音楽表現は楽器の進歩に関係なく、現代曲に必要な技法とも関係なく、いかに尺八を使いこなすかというところ一点にあるのが魅力ではないでしょうか。
メリカリを極限まで使用し、同じ音高を様々な指使いで表現し、伸びのある音、破裂音、薄い音、かすれた音、ビブラートの有無、強弱......
これらを駆使して一人で表現する尺八の音色の魅力。
これらを習得するには練習よりも多くの演奏機会を持つことが必要だと今更ながら痛感します。

さて、今年の高尾山は皆さんで一緒に奉納演奏の企画も用意されております。
初夏の山を散策がてら尺八本曲はいかがでしょうか?
当日ふらりと来場されても100畳敷の会場はまだまだ余裕あります。
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高尾山下見 [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

今年の6月6日(土)に東京は八王子の高尾山で橋本竹咏師と二人で琴古流尺八本曲の演奏会を開催します。毎年6月に行っておりますこの演奏会はこの2年程は新宿の法身寺で開催しておりましたが、今年は本来の会場であります高尾山薬王院での開催となりました。

高尾山は東京都心から1時間弱で行けることで、日帰りハイキングとして人気のスポットで、平成19年にミシュラン観光ガイドで首都圏では唯一三ツ星を獲得したこともあり、近年は国内はもとより外国人の観光客も増えているようです。2月の好天に恵まれた12日に下見に行ってきました。
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京王線高尾山口駅を降りて3分ほど歩くとケーブルカーの乗り場があります。山登りを楽しむ人はここから横道に入り2時間かけて薬王院まで歩きます。一方ケーブルカーは45度もある急勾配を登って10分で高尾山駅に着きます。
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さてここからは薬王院までの参道ということで15分の山道を歩きます。山道といってもほとんど平坦な道なのでお年寄りでも大丈夫!
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途中、男坂/女坂の分かれ道がありちょっと上り坂となります。
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暖かい日差しの中、幾重にも重なった山並みを眺めつつ、澄んだ空気を胸一杯に吸いながら歩く気分は最高です。
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やがて山門が見えてきました。仁王様もお出迎えです。境内の茶店などを通過して右手に石段が現れ、登っていくと薬王院本殿があります。
本殿入り口.jpg薬王院本殿.jpg

高尾山は真言宗智山派の大本山として知られ、修験道を修める山伏が今も厳格な規律のもと修行に励んでいるそうです。とそこへ法螺貝の音が鳴り響き、鮮やかな法衣を身にまとった僧侶の一団が本殿に歩いてきました。これから本殿内で厄除の護摩修行を行うのです。
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今年は企画として尺八演奏会の前にこの本殿にて本曲の奉納演奏をする予定です。我々二人だけでなく、演奏会に来場いただくお客様で尺八演奏が出来る方には尺八を持って来ていただき、一緒に演奏をしようという企画です。このような護摩修行を行ったその後引き続き本殿で尺八奉納演奏ということで薬王院の許可もいただきました。皆さん奮ってご参加ください!
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本殿を通り過ぎてその奥に宿泊や精進料理を味わう客殿があり1階の100畳敷の大広間が演奏会場となります。
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高尾山の自然の中、薬王院の荘厳な建物内での尺八演奏です、お楽しみに!
◯演奏曲目
虚鈴(古伝三曲の一つ)
打替虚鈴
吾妻の曲
目黒獅子
雁音柱の曲

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尺八本曲鑑賞会 於:法身寺 [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

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CD 琴古流尺八本曲 吹き合わせ集 〜第2集〜 が発売されました。
¥2,500 購入お申し込みは船明まで。
funagiram@ca2.so-net.ne.jp  044-272-5020
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収録されている曲(下り葉の曲)の一部をお聞き下さい。


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6月7日(日)新宿にあります臨済宗の寺院「法身寺」で琴古流本曲の吹き合わせによる演奏会が開催されました。燭の会を主宰する橋本竹咏師の助演として2001年より参加して以来今回が8回目となります。
梅雨時のはっきりしない天気の続く中、奇跡的に快晴の日を迎え逆に暑い暑い日とはなりました。
法身寺は新宿区原町にあり東京女子医大の近く、ビルの乱立する中にあるこじんまりとしたお寺です。ご住職の小菅大徹師は虚無僧研究会の会長として虚無僧関係の資料収集と機関誌の発行を手掛け、寺の庫裏2階にそれらを展示した月海文庫を開設されております。まさに尺八本曲の演奏にはうってつけの会場といえましょう。

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今回は昼の部、夜の部の2回公演です。吹き合わせの演奏ということで各曲の編曲をどのように選択構成するかが毎回の聞き所といえましょう。
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昼の部:
①鳳将雛(ほっしょうす)編者不明ですがこの曲あまり演奏されないようで面白くないのかなと思いきや、展開が現代的と言いますかちょっと毛色の変わった曲でした。
②転菅垣(ころすががき)初代納冨寿童編、尺八の手法コロコロを多用したにぎやかな曲。独奏部分を挟んで重奏部の響かせ方が上手い編曲でした。
③下り葉の曲(さがりはのきょく)木村友斎編、8寸と2尺の吹き合わせで地唄的なリズム感のある聞き易い曲ですね。
④巣鶴鈴慕(そうかくれいぼ)橋本竹咏編、鶴の巣篭もりと呼ばれる尺八曲の代表曲ですね。喉か舌を震わす玉音(たまね)という技法が特徴ですね。今回はお互いが吹く場所を担当し様々な掛け合い形式に編曲してみました。
昼の部終了したところでもう汗びっしょり!エアコンを入れると騒音が出るので演奏中は止めるためですが、うーんサウナでした。
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夜の部:
①下り葉の曲 昼と同じ曲ですがこちらは川瀬順輔編、共に8寸での演奏です。こちらの方が軽快で演奏は楽だなあ。
②秋田菅垣(あきたすががき)2世青木鈴慕編、両者2尺で吹き合わせてみました。この曲の編者鈴慕会出身同志だけに音質と表現は一番合っていたような....。
③雲井の曲(くもいのきょく)木村友斎編、この曲も地唄的リズム感のある軽快な曲。メロディーも編曲も奇麗で吹いていても楽しい曲です。
④巣鶴鈴慕 昼と同じ曲、編曲です。最後となって二人とも汗と疲労でグショグショという感じ、鶴の鳴き声が悲鳴に聞こえたというお客様の声も....。

6時半頃終演。大勢のご来場をいただきありがとうございました。

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終了後スタッフとお客様、小菅大徹和尚を交えて打ち上げとなりました。皆様ご苦労様。小菅さんありがとうございました。
いやー、暑かった、ビールの美味しいこと!
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尺八本曲鑑賞会 練習1 [高尾山・尺八本曲鑑賞会]

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6月に新宿の法身寺で上記のチラシのような演奏会を開きます。
今日はその演奏会を主催します燭の会会主橋本竹咏さんが練習のため見えました。
この演奏会は今から9年ほど前橋本さんが地元八王子にある高尾山薬王院で「尺八本曲鑑賞会」と銘打って始めたものです。
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燭の会会主 橋本竹咏さん

江戸時代、読経や修行の代わりに尺八を吹く「普化宗」という宗派を興し、檀家はとらず托鉢を主な収入源として各地を徘徊した虚無僧と言われる人たちが吹いていた尺八曲(儀式や托鉢用)を尺八本曲と言います。尺八本曲/虚無僧音楽ともいうべきこの尺八独奏曲は抽象的で、習得するのも演奏も難しい曲なのです。この本曲だけを集めて演奏会を開くのは演奏者も聞く方もちょっとしんどいものがあります。そこで明治以後「吹き合わせ」といって替手式の重奏にしたり、違う長さの尺八で同じ曲を吹く(原曲を移調して吹く)といった編曲が流行し今日にまで伝わっています。現在も新たな編曲が生まれています。
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高尾山薬王院

最初一人で始めた本曲の会ですが、この吹き合わせを取り上げ、より趣のある本曲演奏の方法を模索しようと思い立ちました。その演奏相手を頼まれまして、気がつけば9回を数えるまで続くようになりました。
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さて、ご存知のように高尾山は修験道の関東における一大霊場としてまた軽いハイキングコースとても有名な「山」です。当然会場の薬王院まではケーブルカーに乗り山道を25分ほど歩くことになります。健康のためにはもってこいの場所ですが演奏会場としては不便きわまりまない所ではあります。にもかかわらず毎年多くはありませんが足を運んでくださるお客様には感謝感謝の演奏会ではありました。
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高尾山の麓ケーブルカー乗り場

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薬王院客殿、この中の100畳敷の大広間が会場

昨年高尾山の会場の都合で使用が出来ないという事で急遽、新宿にあります法身寺に会場を変えて開催しました。この法身寺は虚無僧研究会本部としてつとに有名なお寺でして、住職を務めます小菅大徹和尚はその会長として尺八関係の資料収集と機関誌の発行をされております。また私にとって大学の先輩にあたるという縁で尺八の演奏会としてはまさにうってつけの会場でした。
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法身寺 http://www2s.biglobe.ne.jp/~komuken/

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今年もこれに気を良くしてもう一度法身寺での開催とし、昨年の満員状況を考慮して昼と晩の2回公演としました。
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さて、今回の演奏会は企画として琴古流各家元が編曲した本曲の吹き合わせを一堂に集め、吹き比べを披露する予定です。
その顔ぶれは木村友斉、川瀬順輔、青木鈴慕、納富治彦、三浦琴童の各先生方が著した楽譜を用います。これはまた橋本さんが各家元又はおそのお弟子さんより直接稽古を受け伝授された貴重な資料でもあり、その演奏表現が各社中のカラーともなって聞きごたえのある吹き合わせの演奏会となるでしょう。是非聞きに行きましょう!
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練習に熱が入る二人


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