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明治大学三曲研究部創部50周年記念演奏会奮闘記パート2 [明治大学三曲研究部]

平成22年6月12日(土)初夏の良く晴れ渡った土曜の午後、ここ赤坂のサントリーホールでは明治大学三曲研究部の半世紀に亘る集大成とも言える演奏会が今まさに幕を開けようとしていました。クラブを創設した宇田川さん、OB会長の小菅さんを始め初期のOBOGの方々の思いはいかばかりだったでしょうか。

看板.jpgパンフレット.jpg
客席より.jpg
■客席はほぼ満席でした

最初は三曲研究部現役の皆さんによる「アクシス」から演奏が始まります。総勢29名という大人数で見事なハーモニーを聞かせてくれました。しかも全員暗譜!箏・三味線の暗譜はよくありますが、尺八のそれも現代曲での暗譜演奏はあまり見たことがありません。若いっていいな!

アクシス.jpgアクシス/尺八.jpg

■息の合った演奏を少しお聞き下さい

次は「千鳥の曲」です。広く参加を呼びかけて演奏から遠ざかっている人にも出演できるよう当日飛び入りも可として募集しましたがあまり集まりませんでした。やはり現役の社会人には時間の余裕が無いのかもしれません。昔は公官庁や企業にも邦楽のサークルがあり、楽しむ余裕もあったと聞きます。しかし今や野球やバレー、ホッケーなど伝統有る企業のクラブさへ閉鎖に追い込まれているご時世です。定年後しか自分の時間をたっぷり使えないのは豊かな社会と言えるのだろうか!などという憂いを吹き飛ばす元気な千鳥の演奏でした。

千鳥の曲.jpg

50年という長い歴史の中で大きな社会現象として年号が新しくなったことがあります。天皇陛下の崩御により昭和から平成へ年号が変わり、その平成生まれの子達がちょうど大学生となっている現在、時代はどんどん進んでいきます。パソコンと携帯の時代になるなんて夢にも思いませんでした。

次は平成生まれではありませんがつい最近卒業したばかりの、まだ現役の演奏能力を維持している若手の演奏です。
出番前での緊張感などという感じは微塵もなくお祭り気分でわいわいと円陣を組み演奏を楽しんでいる雰囲気は、我々古いOBにも伝播しなんだかうきうきします。
現代邦楽「白い航跡」の美しい旋律、地唄「夕顔」のしっとりした三曲合奏、ともに息の合ったフレッシュな演奏でした。ずっと楽器を続けてくれるといいなと願わずにはいられません。
円陣を組む.jpg白航跡.jpg
円陣②.jpg夕顔.jpg

次は中堅どころ?と若手の混合演奏「楫枕」です。私も尺八で参加しました。糸の皆さんは卒業後も先生に師事して演奏を続けており現役とはまたひと味違う重さが?ありました。
楫枕.jpg


次も混合の合奏で「飛騨によせる三つのバラード」です。創成期のOG五味さんと平成13年卒業の佐久間さんとの年齢差39歳、この間に昭和40年、昭和50年、平成5年、平成9年、平成10年と各代の人達が均等に参加し、まさに50周年の記念演奏会にふさわしい編成になっていました。それだけに合奏練習も大変だったと思います。流れるように演奏を聞かせてくれました。
飛騨.jpg

ここで10分間の休憩に入り、客席でロビーでOBOGの方々の楽しそうな話し声がこだましておりました。
休憩後「彩花物語」から後半の演奏が始まります。この演奏をした昭和43年卒業の人達は仲が良く「赤坂邦楽の会」というグループを結成し、毎年発表会を開催して演奏を楽しんでいます。今回サントリーホールの予約が取れたのも赤坂の地元で活動していたこのグループの縁によるもので、演奏他記念事業の中核としてOB会を牽引していただきました。感謝感謝です。
同じ仲間で定年後までずーと演奏を楽しんで来られたその有様は範として見習いたいものです。若手の和気あいあいとは一線を画して楽屋でも舞台でも実に楽しそうでした。
出演前.jpg彩花.jpg


さて演奏会も佳境に入りOB会の中でも尺八をプロとして、アマチュアとして続けてきた3人による尺八三重奏「鼎」の演奏が始まりました。その輝くばかりの頭……じゃなかったハーモニーは見事でした。頑張りました。第1尺八の古屋君には身内のご不幸にもかかわらず時間を融通して参加いただきありがとうございました。彼とはこの曲を学生時代に一緒に定演で演奏して以来何度か舞台に掛けてきました。サントリーホールという最高の舞台で再度一緒に演奏出来たことはこの上ない記念となり感謝感謝です。
鼎.jpg


さて現役、OBOGの演奏が全て終わり、いよいよ三曲研究部講師の演奏です。
箏・三絃講師の金津千重子先生は東京芸術大学卒業後すぐの昭和46年に就任されました。学生とほぼ変わらない年齢だったため、練習場所へ初めて顔を出した時は三曲部員と間違われて「君どこの学部?」と聞かれたとかエピソードを聞きました。以来40年もの長い期間を講師として学生達を指導していただきました。邦楽という地味なサークルながら最近は入部希望者が多く70名を越す大所帯になってきて、ここだけは邦楽の将来は大丈夫だと思ってしまう程活気があります。
これからも末永くご指導いただきたいとの思いで大曲「根曳の松」をカット無しで演奏していただきました。助演には弟子でもある南海佳子先生、湯井麻里子先生をお願いしました。息の合ったというより「息をのむ」演奏を堪能出来ました。
根引.jpg



尺八講師の佐野鈴霏先生は昭和45年卒業の明治三曲OBで現人間国宝の青木鈴慕先生に師事し三曲界の重鎮として活躍されております。
180cmを超える身長と甘いマスクで若い頃より学生に人気がありましたが還暦を過ぎた今でも現役生に聞くと格好良い先生としてその人気は不動のものだとか!
虚無僧音楽である古典本曲を1尺3寸、2尺3寸の2本を使い会場に響き渡る豪快な音色を聞かせてくれました。
佐野師.jpg

ここで次の合奏曲の舞台転換の時間を使ってOB会長小菅大徹さんの挨拶と三曲の歴史などが語られました。60年安保の年に生まれたクラブのエピソードは時代を感じさせてよい話でした。
会長挨拶.jpg

最後は合唱合奏曲「道灌」です。江戸城の開祖太田道灌を詠った叙事詩に箏三絃尺八打楽器を加えた宮城道雄作曲の大合奏曲で、総勢60名のフィナーレを飾るにふさわしい陣容で演奏は始まりました。
金津先生が箏独奏を受け持ち現役生が合唱を担当して舞台は楽器と人で一杯!
指揮も無しでまとまるのだろうかとの心配をよそに、見事なリズム感で終始緊張を保ち迫力のある演奏が出来ました。
道懽①.jpg道懽②.jpg道懽③.jpg


演奏終わって後片付け、OBOGの皆さんは三々五々記念式典とパーティーを開催するお茶の水の紫紺館へ向かうためホールを後にします。
だんだん人が減り、静かになっていく楽屋で一人「終わった」とつぶやきました。
良い演奏会ができました。皆さんへ感謝感謝…………。





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