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晩夏の宴 [今日の工房]

晩夏の宴
8月最終の土曜日に工房で暑気払いを兼ねてカラオケ尺八を楽しみました。
お酒を飲みながら尺八を吹くなぞ何と不謹慎な、もっと真面目に尺八に取り組め!と怒られそうですが、まあお待ちください。カラオケというこの日本人が発明した音楽を楽しむ方法は、初期のプロ用からお店の享楽用、さらに個人で楽しむ物にまで進化して、今や歌から楽器からおよそ音楽に関して練習する際に無くてはならないアイテムになっています。
楽器店に行って楽譜の棚をのぞくとボーカルや各種楽器ごとに伴奏カラオケが付録として付いている楽譜が多数置いてあります。クラシックからポピュラー、映画音楽、ジャズ、テレビ主題歌なんていうのもあり、ピアノやギターの伴奏からフルオーケストラの伴奏まで至れり尽くせりの内容です。中には交響曲の構成楽器全てが一つずつ抜けている練習用カラオケもあり、自宅にいながらオーケストラの一員として演奏に参加している気分になる豪華なものです。
これほどカラオケが普及したのもデジタル音源でいとも簡単に様々な音が作れるありがたい時代になったからですね。私も邦楽の現代曲をパソコンで五線譜に打ち込みそれぞれ各パートに箏・尺八など音を割当て、デモテープを作ったりカラオケとして練習に使うという技術覚え、いろいろと利用してきました。
なぜカラオケは練習用として効果があるのでしょう?
晩夏/松戸.jpg

カラオケはほとんど人工的に作られた電子音で、音程は442Hzで統一されているというし、機械ゆえもちろんリズムは一定ですね。メトロノームの無機質な音に合わせるよりは伴奏としてメロディーを楽しみながら表現を磨くことが出来る優れものといえます。

景山.jpg

実は自分自身リズム感が無くて尺八を習いたての頃は規則正しく刻むことはおろか8分音符、16分音符と音が混みいってくると走る走る!箏や三絃の音が裏拍で入るとすぐ連られてリズムが狂ってしまい先輩や先生からはよく怒られていました。
音程計測のチューナーが手に入ったからすぐに音程が良くなる訳でもなくて、尺八の音が箏より高いのか低いのか演奏最中には全く把握出来ていなかった自分ではありました。
どうしたらよかんべ??と悩んでいると当時鈴慕会で一緒だった林雅寛君や親友の古屋君がカラオケをやりなさいと私を居酒屋やスナックへ導くのです。飲んべえですからそのような場所は大好きですが歌はヘタクソで、ただただ吠えている有様でした。そこから歌の指導が始まったのです。

井上.jpg

声の強弱、声の伸ばし方、リズムの取り方、息継ぎ、歌い出しの部分やさびの所の表現、などなど。慣れてくると3〜4分の短い曲ですからカラオケの伴奏全体が見えてきて、リズムを数えなくても流れに乗ってくることが体感してきます。伴奏の音に歌の音程を合わせる練習として、わざと歌っている最中に伴奏の音程を変えて歌ったりしてみました。カラオケのあるお店は当然他の人もいて言わば観客として考えれば人前で演奏することの練習にもなったような気がします。他人の歌い方にも得る物はありましたね。
斉藤、松戸.jpg

また、知らない曲でも章節の頭が把握でき、歌いだしの場所や間奏の長さまで分かるようになってきました。それに伴って尺八の吹き方や音程、リズムが少しずつ良くなっていきました。現代曲の練習や表現方法はこの若いときのカラオケ修行?がかなり役に立ったかなとは思いました。歌も尺八も息を吸って音にして出し表現するのですから同じ練習になるのですね。そして何よりの収穫は良い歌、楽曲をたくさん知ったことです。良い歌は難しいとか複雑な作りになっているのではなくシンプルなのです、覚えやすいのです、心を打つのです。歌心を鍛えられました.....なーんちゃって
かなり金は使いましたが同じ酒でもただ飲んでいるよりは有効な時間を使ったかな?と納得する次第。

晩夏/遠藤.jpg

そんな体験を皆さんにもと余計なおせっかいで企画したこの晩夏の宴、準備は万全に整えました。先ず1ヶ月ほど前に課題曲として数曲を選び楽譜と音源を渡しておきました。
シクラメン楽譜.jpg
※この「シクラメンの香り」は「レ」から始めるほうが尺八の運指には慣れがあるので1尺6寸で演奏をと思いましたが、ツの半音(ツのメリ)やチ半音とハ半音が重なり、7孔で演奏するならば良いのですが5孔の時はツの中メリを使用するこの音階のほうが表現としてはベストかなあ......

歌謡曲から「北国の春」「シクラメンのかおり」「見上げてご覧夜の星を」「涙そうそう」「川のながれのように」ビートルズナンバーから「イエスタディー」ジャズボーカルより「テネシーワルツ「虹の彼方へ」「星に願いを」「スターダスト」など有名な曲ばかりです。歌謡曲はロツレチの譜面に翻訳して渡し、ジャズ編は五線譜を渡して自分で縦譜にするか、五線の下にロツレチを書くか、読む練習として何も書かないか等お任せにしました。

課題としては歌謡曲など知っている曲はおおよその感覚でリズムを取っているのでここは先ず第一に「楽譜に忠実に吹く」ことを狙いました。1拍・8分音符・16分音符、3連符や付点8分音符、タイやスラー、スタッカートなどを正確に刻むことですね。意外とこれが難しい!
次に今度は逆にリズムを変えてみたり長さを変えてみて歌の表現を楽しむことを課してみました。ジャズなど8分音符を付点8分音符のように弾んでスイングするように吹いたり、さびの部分を誇張して長めに吹いたりと技を使います。
また、北国の春などは譜面を見ずに吹いたり、「チ」から始まる音をカラオケを離れて、出だしの音をロ・ツ・レなどから始めてみたらどうなるかという音を探る練習にまで発展させると耳の訓練には効果的であるとか........


※「イエスタディー」のカラオケです。さて始まりは?繰り返しは?分かるかな?(乙のレから始まります)

もう講習会的な展開を期待したのですがお酒がおいしかったので、だんだん酔ってくるにつれ皆さん練習を忘れて楽しんでおられました。近所の皆様お騒がせいたしました。

over-the-rainbow.jpg

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