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竹保流 酒井松道尺八リサイタル [尺八雑談]

10/23 大阪の竹保流宗家酒井松道師の尺八リサイタルを聞きに銀座へ出かけました。

チラシ.jpg
竹保流という尺八流派の名称を聞いたのは学生の時、法政大学が主宰した第1回現代日本音楽祭にて2代目宗家酒井竹保師が演奏した時だったように記憶しています。演奏はもちろん「竹籟五章」で切れ味鋭い音の立ち上がりとメリカリの激しい跳躍に驚いたのを思い出します。尺八を始めて半年余りの頃で三本会の先生方の次に覚えた名前でした。がしかし関西が主な活動の場のせいかその後聞く機会がなく30年ぶりの演奏です。

竹保/会場.jpg
会場は銀座王子ホール、小雨まじりの天気の中400席余りのホールは満席でした。関東ではなじみのない流派ゆえパンフレットには竹保流の成り立ちと芸系の系譜が丁寧に解説されており、京都明暗寺を母体として本曲を継承してきた人たちの動きが一目でわかるようになっています。
竹保/資料.jpg
会場ロビーには竹保流の資料が展示されていました。竹保/流祖写真.jpg

さて開演です。最初は「鹿の遠音」、しかし琴古流とは全然違うメロディーに冒頭から竹保流の世界に巻き込まれます。大きなユリとメリの少ない曲構成、大甲音の伸びが力強く繊細でした。2曲目の「鶴之巣籠」3曲目の「観月曲」と聞くうちにこの流派の曲想と技法になじんできて心地よくなってきました。私この竹保流の演奏が好きになりそうです。

琴古流始め尺八古典本曲をいろいろ聞いたり演奏してきましたが、かなり毛色の違う演奏だと思いました。極論すれば今まで体験した本曲が「メリの音楽」だとすれば、竹保流は「カリの音楽」かなというところ。雅楽のようにゆったりとして、スリ上げ、ユリが波のように重なって会場を包み込むのです。
最後の曲が「竹籟五章」。
多くの演奏家が取り上げているので、30年前の初体験以来何度も聞いているのですが今回酒井松道師の演奏を通して初めてこの現代曲は竹保流がベースとなっているのだと理解出来ました。
竹保/小林.jpg企画・構成を担当した㈲AISAの小林氏

パンフレットの解説に竹保流の演奏は関西で広く演奏されていた「宗悦流」の特徴を受け継いでおりとの記述で思い出したのは「都山流」の流祖中尾都山も流派立ち上げの前は宗悦流に師事していたということです。
琴古流で育った私には都山流の曲が明治期以降に作曲された新しい曲との概念があったのですが、ベースにある技法の成り立ちには明暗寺本曲があることが今日の演奏でよりはっきり理解できました。

演奏が終わりお客様にお見送りの挨拶をされる酒井師の人懐っこい笑顔が印象的でした。
お疲れさまです。
竹保/酒井松道.jpg

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コメント 3

じなしふくぞう

はじめてコメントします。
愛知で竹掘り・極太地無管つくり・演奏?をやってます。

松道さんは高槻市での本曲会で年一回はご一緒しますが、師の本曲は本筋からはすこし違っているように思います。装飾・脚色が師独特なものになっています。
師の兄上は上手だったとか。
by じなしふくぞう (2008-10-29 00:55) 

船明啓耳

じなしふくぞうさんへ
コメントありがとうございます。形のない芸の継承はその伝える本人の個性が入るので本曲に対して伝承の正確さか芸術性かで葛藤もあり、思い入れもあるのでしょう。私自身関西の本曲について不勉強なこともありこれからいろいろと音源を収集して聞いていきたいと思います。でもメリの複雑多岐にわたる技法が主流の本曲界にあって、酒井師の技法の明るさは一種カルチャーショックに近いかなあ....。兄弟2代にわたって刺激受けました!
by 船明啓耳 (2008-10-30 23:55) 

一人

2代目酒井竹保氏の生の音を伊勢の朝熊山(あさまやま)で聴いたことがあります。始めの一音で引き込まれてしまい座るのを忘れ周りの人から肘を引かれ我に帰った事が懐かしく思い出されました。
酒井松道氏の演奏もマイクを通さない生の音で聴きたい衝動に駆られました。
じなしふくぞうさん(他のブログで良く見かける、し※たさんでしょうか?)にお聞きしたいのですが、高槻市の本曲会はマイクを使わない演奏なのでしょうか。このコメントを見る事がありましたら是非教えてください。
宜しくお願いします。
愛知県は竹保流の方が刈谷市を中心に多いように思います。この方たちの演奏は2代目か3代目のどちらに近いかも興味があります。

このブログ主の船明さんの頑張りにも敬意を表します。
ありがとうございます。


by 一人 (2008-11-07 17:39) 

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