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(株)目白にて尺八講習 [今日の工房]

11月12日(土)尺八のお店「目白」にて尺八性能アップ講習会をしてきました。
https://www.mejiro-japan.com/

鳴るための条件、性能アップの秘訣などを歌口・音程・内径に分けて図解しながら説明し、その後受講生の尺八診断をするというサービス満点の講習会です。毎日大量の調整依頼尺八と格闘しているので、いつもの作業を解説しているような感覚でした。受講生は12名集まりまして、それぞれ趣味で尺八を製作していたり、吹奏に悩みがあったり、訳あり尺八の受診だったりと受講の動機は様々のようですが熱心に講義を聞いていただきました。ただ、私の話が上手ではなかったのでうまく内容が理解できたかちょっと心残りではありました。

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先ずは尺八の構造説明からスタートです。このブログでも詳しく解説しているように歌口構造、音程、内径のポイントなどを黒板に図解しながら講義していきました。
指穴図.cwk-(DR).jpg

その前に製作者から見た「尺八の定義」をお話したかどうか記憶が定かではないですが、このように思っていますと披露しました。
「良い尺八の条件」「良く鳴る尺八とは」という定義です。私は良く鳴るとは「大きな音で鳴る」ことではないと思います。歌口に唇を合わせやすい形状を持っている、つまり歌口エッジを探ることなくすぐ音が出る・吹きやすい・息が安定して入ることが大事であり「乙から甲まで同じ息量で反応」するのが「良く鳴る」尺八なのです。
そして音程が揃っている(筒音に対して同じ音程になり、オクターブでも合っていること)ことが「良い尺八」の条件なのです。その結果大きな音が出るのであり,良い音色が生まれるのだと思います。

同じ意味で「尺八の価値」ということを言いますね。
工房では修理調整依頼を受けるときよく聞かれる言葉があります。
「この尺八は直す価値があるでしょうか?」と。私はこう答えます。
「もしお手持ちの尺八が不具合や満足出来ない所があるのでしたら直して使いましょう!直して価値のある尺八にしましょうよ!」と。
つまり尺八は外観や竹材の善し悪しで鳴るわけではなく、製作者の技術力で性能が決まるのです。模様などの外観は自然が作ったもので作者の技術とは関係有りませんから、立派な竹材・外観(金銀などの装飾)は希少価値・贅沢品としての値段が付けられますが性能の値段ではありません。
ということで、私の製作する尺八は私の技術の範囲内の「価値のある尺八」であり、私より技術力のある人が製作すればさらに尺八の価値は上がるのです。
これは修理調整・改作でも同じことが言えます。

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さて、おおよその尺八の構造説明が終わり、後半は受講生が持参された尺八の診断です。
ものすごく上手に製作している尺八がある一方、初歩的なところで悩んでいる尺八まで実に多様でした。
E6AD8CE58FA3E382ABE38383E38.jpg

歌口の成形が難しいようで、私のブログも読んでいただいているらしいのですが、エッジの深さが3mm以下の実に浅い形状が多かったですね。内径では理想曲線のグラフをチャートしながら製作しているつもりでも測定が悪いのか同じになっていないので鳴りが悪い尺八がありました。測定機器はリングゲージも良いのですがダイヤルキャリパーが高価ですが確実です。何度も測定して完全に同じ曲線になるまで管内を成形する練習をお勧めしました。

原田様A管.jpgキャリパー①.jpg

午後1時から開始された講義はあっという間に4時過ぎになってしまい、後半の尺八診断が急ぎになってしまったのでまた機会があれば診断のみの講義などしたいと思いました。
受講いただきました皆様ありがとうございました。

DSC00585.jpg



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